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Vol.5
Granite stool made by EYEFUNNY OBJECTS for WILDSIDE
EYEFUNNY OBJECTS Designer
Jury Kawamura

EYEFUNNYデザイナー川村の新プロジェクトEYEFUNNY OBJECTSがWILDSIDEの為に制作した黒御影石で出来たスカルローズのKスツール

POGGY:川村さんはEYEFUNNYジュエリーを初めて20年目ですが、まずはEYEFUNNY OBJECTSを始めるに至った経緯から聞かせてください。

川村:2020年の4月ですね、コロナで海外に行けなくなって、出張の予定も全部キャンセルになりました。じゃあ今しかできないことをやろう、ずっとやりたかったジュエリー以外のアートやスカルプチャーを制作しようと思い、EYEFUNNY OBJECTSというプロジェクトを始めました。前々から興味があって行きたいと思っていた香川県牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館に行った際、牟礼町の石工職人さんや商工会の方に出会う機会をいただいて、いろんな方を紹介していただきました。そこで自分のやりたいことを話していくなかで、一緒にやりたいと言ってくださる方と出会えて。それで、石のオブジェや家具を作るというこのプロジェクトが始まったんです。イサム・ノグチやジョージナカシマが惚れたこの素材で、今この時代に敬意を持って作品を作ることは意義のあることだと思い始めました。幸運にも、POGGYさんだったり、ダニエル・アーシャムだったり、クリエーションに興味を持ってくれて可能性を感じています。今回もWILDSIDEとこうして一緒にプロジェクトができて嬉しく思っています。

POGGY:今回WILDSIDEの為に作ってくださった椅子は、EYEFUNNY OBJECTSが始まった時に1番目に作った椅子と同じモデルですよね?

川村:そうです。最初に何個か作った椅子のうちの1つです。ご覧のとおり、アイディアソースはベルジェスツールという羊飼いの椅子に着想を得た木素材のスツールなんですけど、それが僕はすごい美しいと思っていました。元々椅子の制作を始めたのは、イサム・ノグチさんやジョージ・ナカシマさんがアート作品以外に家具もデザインされていて、その文脈で、見るだけのオブジェではなく生活の一部として使って一緒に育っていく作品を作りたい、というのがありました。そこで何ができるか、やりたいのか、作りたいのかとデザインを考え、色んな形で絵を書いたり、サンプルを作りましたが、やはりこのスツールが一番綺麗だったんです。三つ足だと、ある程度床が凸凹していてもきちんと立って安定するし実用性もある。四つ足だと平面じゃないところに置くと不安定でガタガタするんです。三つ足って本当によくできていて、3点で支点を取るので羊飼いが羊を追う時に屋外で少し座れるように使われていたり。デザインとして実用性もあって、見た目も完成されていて美しい。これを石で作るとなった時にどういうものになるか、と考えデザインしました。

POGGY:今回はグラナイトを使ってベルジェスツールを作っていただきました。このグラナイトの斑の模様が凄く綺麗ですよね。

川村:海外のスカルプチャーは大理石が多いのですが、日本では大理石は少ししか取れません。その代わり、グラナイトという花崗岩、通称御影石が多く取れます。香川の牟礼町にはグラナイトの山があり高松城の建設にも使われていたので、もう400年500年の歴史があります。その時から石工の産業が代々受け継がれています。牟礼町は石屋さんだらけなんです。

川村:グラナイトって本当に斑が面白いんです。世界的に見ても日本のグラナイトは非常に斑の見え方が綺麗で硬度が高いんです。大理石だともっと柔らかくて粘性が高いので、リューターでけずれちゃうんですよ。でも、グラナイトだと硬いので繊細なリューターだと削れない。斑があるので、パチっと割れてしまう。

POGGY:その分耐久性があるってことですよね。

川村:そうですね、それもあって墓石にも使われる素材でもあると思います。屋外に展示してあるイサムノグチの彫刻もグラナイトで出来ています。職人さんによって綺麗に削り出された石であれば、屋外に200年置いても朽ちない、割れない、と言われています。それが可能になるには、石工さんの石を見る目が大切で、それなくして作品はできません。僕が面白いと思ったのは、みなさんが普段扱っている洋服の、生地や革と石の共通性です。布も織の方向によって、裂けやすい向きがあると思うんですが、石も同じでパッと見てはわからないのですが、石を大きな塊から切り出す時に、どこに楔(くさび)を入れて割ればいいかがあるんです。でもそれを石工職人の方に「なぜ割れる方向がわかるんですか」と聞くと「経験です。」としか言わないんですよ。それがすごいと思います。

POGGY:天板にはヨウジヤマモトの象徴的な柄、スカルローズを入れていただきました。

川村:僕もヨウジヤマモトの花柄のコートを持っていて、コレクションでこのスカルローズのセットアップを見たのをよく覚えています。その時から、とても綺麗な薔薇だなあ、と思っていました。

POGGY:ご自宅でも同じスツールを使われているのですか?

川村:リビングにダニエル・アーシャムが作った一人掛けのソファがあるんですけど、その隣にスツールとして置いています。一番の使用用途としては、4歳の子供がそのソファに上がるための踏み台です(笑)。

POGGY:可愛いですね!

川村:重たいので子供がガンガン押しても動かないんです。実用性もあり安全です(笑)。でも、普段は何かものを少し置いたりもしていますよ。作品は通常欲しいと言われても基本的には売ってないんです。なので、今回の作品にも売らない前提でA.P.(Artist Proof)が入っています。ただ、POGGYさんとWILDSIDEからお声がけを頂いたので今回のプロジェクト実現に至りました。

POGGY:今回のコラボレーションは特別なんですね!このスツールは、今まで何点制作したのですか?

川村:これは、6点目です。

POGGY:ご自宅のスツールもカウントされていますか?

川村:カウントしてます(笑) 自宅にある作品を含めて、今回の作品が6点目ですね。

POGGY:希少性が高いですね。

川村:WILDSIDEとEYEFUNNY OBJECTSとの貴重なコラボレーションアイテムが生まれ、どんな方に持っていただけるかが楽しみです。

EYEFUNNY OBJECTS デザイナー 川村 JURY 洋一
1977年生まれ。経済学を専攻後、独学でデザインを学び、2003年EYEFUNNYを設立。既存店舗の空間デザインと什器や家具のデザインも手がけている。旅とサーフィンを愛し、世界60カ国以上を訪れ、五感すべてで感じる自然の美しさ、そして多様な文化を体験することをライフワークとしている。2020年よりEYEFUNNY OBJECTSをスタート。
イタリア・ミラノで開催された世界一のデザインの祭典「ミラノサローネ2022」に川村氏の作品が展示された。
参考記事:https://stockx.com/news/how-history-and-culture-guide-eyefunny/